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Q1. 後見人がいる場合、サービス提供票に全部署名押印が必要?
居宅のケアマネです。担当のご利用者(Aさん)に最近後見人 が就いたのですが、司法書士の先生でいつも忙しいらしく、事務所にお電話しても中々繋がりません。
Aさんは訪問介護を利用していますが、毎回利用の度に複写式の「サービス提供票」を作成しますが、そのフォームの右下にご利用者の署名捺印欄があります。これまでは認知症のAさんの代りに職員が代筆・押印してごまかしていましたが、今後はこうした1枚1枚全てについて後見人の署名押印を頂かなければならないのでしょうか?
居後見制度と介護保険制度のまたがる問題ですね。結論としては、こうした細かな書面についていちいち後見人のサインは必要ありません。
程度問題になりますが、ある程度包括的に把握することができ、またそうしなければ後見業務としても却って「木を見て森を見ず」になってしまうおそれがあります。後見人が忙しそうなのでいちいち聞くことも憚られる、というお気持ちは分かりますので、例えば日々疑問に思われた項目を文書でまとめてFAXで送信し、「こちらとしてはそこまで先生に細かくみて頂かずとも良いと思いますがどうでしょうか」と見解を積極的に示していくのが良いのではないかと思います。
どうしても処理方法が分からず悩んでしまうときは、家庭裁判所の事務官に尋ねてみるのが良いでしょう。
なお訪問介護に付きもののサービス提供票については、実はその作成・交付を省略することが可能です。訪問介護を含めた指定居宅サービスに関する運営基準(平成十一年三月三十一日厚生省令第三十七号)第19条は、
1.「指定訪問介護事業者は、指定訪問介護を提供した際には、当該指定訪問介護の提供日及び内容、当該指定訪問介護について法第四十一条第六項の規定により利用者に代わって支払を受ける居宅介護サービス費の額その他必要な事項を、利用者の居宅サービス計画を記載した書面又はこれに準ずる書面に記載しなければならない。
2.指定訪問介護事業者は、指定訪問介護を提供した際には、提供した具体的なサービスの内容等を記録するとともに、利用者からの申出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、その情報を利用者に対して提供しなければならない。
と定めていますが、厳密にいえば事業所としてしなければならないことは「記録を作成」し、利用者から「開示を求められた場合」には写しを交付しなければならないという二点のみであり、逆にいえばそこさえ押さえていれば後は各事業所の判断に委ねられているということになります。
従って、求められていないのに複写式で毎回記録を置いていく必要はかならずしも法的な義務ではなく、単に記録として残しているに過ぎないのです。実際にある事業所では、介護日誌の様なフォームでA4一枚に15日分位の記録を網羅できるような体裁で記録していましたが、省エネとして優れていると感じました。よくよく見ていくと、実は不要な決まりごとが他にもあるかもしれません。