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Q:7 施設紹介時に転倒リスクを明言して良いか
有料でケアマネージャーをしております。現場職員の不足、教育が追い付かずすぐ辞めてしまうこともあり、度々起きてしまうご利用者の転倒事故に頭を悩ませていますが、最近は職員も萎縮し、すぐ車椅子やオムツ対応をしてしまい、散歩などもってのほか、という様に介護に対する姿勢が消極的になっているのを感じます。
リスクマネジメントも大切ですが、一方でご利用者達が本当に無事故、安全だけを求められるかというとそのようなことは無く、やはり日々の生活を充実させたい、喜びを感じたいという「生きる意欲」が中心に無ければ無意味だろうと思うのです。
そこで思ったのですが、もし私が施設経営者であったとして、パンフレットやホームページ等に「うちの施設は転ぶリスクがありますが、その分充実した日常生活を送れます。誰も拘束しませんし、歩くことにチャレンジして頂きます」といった、昨今の風潮を逆手に取ったPRをすることは問題ないでしょうか。
現場職員としても、事故にびくびくしながらご利用者の精神的充足をないがしろにするより、思いきった充実感ある介護ができ双方にとって幸福なケアが実現できるのではないかと思うのですが、法的にみてどう評価されるものかご教示頂ければ幸いです。
「ご利用者により深い喜びや生の充実を提供する」というお考えは正しいと思いますし、その反面当然転倒等のリスクは上昇することも事実なのですが、やはりそれを大っぴらに外部に伝えてしまうのは望ましくないと思われます。書き方によっては「事故を起こしても仕方ない」といった「開き直り」と受け止められる恐れもあります。
そもそも、「充実した生活」と「身体的安全」の両方いいとこ取りする様なことは矛盾しているのですが、やはり建前は維持しなければなりません。外部にアピールするのであれば、ずるい方法に感じられるかもしれませんがやはりいい面を前面に出すべきと考えます。その上で、その方針、理念に共感したご利用者ご家族から問い合わせ等があれば、個別に改めてその反面のリスクをご説明するのが無難でしょう。
もっとも、そのようなアクティブな日常生活を実現するには、当然ながらご利用者自身の介護度が比較的低い、いわば開設初期のグループホームの様な状況である必要があります。グループホームも年数を重ねるにつれ自然と利用者全体が高齢化、重度化し、施設によってはほとんど胃ろうや寝たきりという所も最近は珍しくありません。
ですから、利用者の平均年齢等がまだ若い「今だけ」を見るのではなく、数年先を見据え長期的に維持できるような理念であることが肝心と思います。理想の実現に向け頑張ってください。