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   Q:7 知らないうちに同居の母に後見人が選任されていた

都内在住の独身女性です。80代の認知症の母とずっと一緒に暮らしてきました。 別に暮らす妹がいますが、母の面倒をみたり、実家のことを気に掛けることは全くありませんでした。

 

ところがある日、全く知らない法律事務所から手紙が届き、「お母様の成年後見人に選任されたので通帳等の財産を引き渡してほしい」と書かれていました。

何が起きたのか分からず、怖くて放置していたところ、翌月から母の口座が凍結され、介護費用もおろせなくなってしまいました。

 

妹とも連絡はとっていないのですが、おそらく妹が家庭裁判所に申請したのだろうと思います。ですが、そもそも同居人の私に何もいわず、成年後見人を付けることが可能なのでしょうか。私はこれからどうすればよいでしょうか。

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厄介な事態になりましたね。実はこの問題(後見人の選任前に家裁が親族関係者の意見を聞かないこと)は後見制度の手続き上の隠れた重大な欠陥であり、早急に整備すべきであると思っています。

まず、後見の申請がなされた際、裁判所の方で親族等関係者に尋ねることは飽くまで裁判所の裁量であり、本件の様に、ご長女に全く伏せたまま後見人を付けてしまうことも可能です。

後見制度については実体法(中身についての規定。法定後見については民法)は存在しますが、後見人を申し立ててから選任するまでの裁判所内での手続きについては何もルールが存在しない(家事事件手続法という一般的な規定のみ)のが現状です。民事であれば民法と民事訴訟法、刑事なら刑法と刑事訴訟法と、そもそも実体法と手続法は車の両輪の関係にあり、どちらが欠けても意味が無いのですがそれが放置されているという驚くべき状況なのです。

本件もそのやり方で進められてしまったものと思われますが、申立人(本件では妹さん)以外の者が一度出た審判を覆すことは極めて困難と予測されます。その後見人がまともに話を聞いてくれる人であることを祈るばかりですが、正式に家裁に選任された以上、基本的にはこの者に従うしかないことになります。

現実には、まず後見人に就任したという法律事務所に電話し、誤解があればこれを解く努力をすべきでしょう。家裁があなたに事前照会しなかったことには理由があるはずであり、おそらく妹さんが「母が長女に虐待されている。逆上するかもしれないから姉には後見のことは知らせないでほしい」といった上申書を提出し家裁が鵜呑みにしたといったことが考えられます。

どの様な審議を経て後見人が付されたのか正確に知るには、後見選任までに作成された一件記録の開示を裁判所に求めます(家事事件手続法47条)。

何にせよ本件は難しい部類に入るため、一度ご来所頂き詳細をご相談頂いた方が良いものと思料します。

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