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Q:6 経歴詐称が発覚したら解雇できるか
精神病院の事務局長です。最近入職した三十代前半の女性(Aとします)につき、解雇できるかご相談したくメールしました。
Aは何らかの精神疾患を持っていると思われ、業務中にいなくなってしまう、トイレに入って1時間近く出てこないなど…業務をまともにすることができず困っています。注意を再三していますが聞き入れず返事もしません。
そんな状況の中、経歴詐称が判明しました。当院の入職時面接で以前の介護現場での経験が17年ということで採用に至ったのですが、前職場に照会をしたところ1が月に満たないことが判明しました。
このようなケースの場合、採用を取り消すことが可能であれば方法を含め、ご指南頂けると助かります。なお、3か月の試用期間はあと1週間で満期となります。
添付頂いた就業規則を拝見すると、「第18条(解雇)」の条項の中に「経歴を偽り、その他不正な手続きによって採用された場合」は「解雇する」と定められています。この規定に従えば、本件でも詐称の事実が真実である以上普通解雇できることになります。具体的には、即時に辞めてもらう場合は1か月分の解雇予告手当を払わなければなりません。
3か月の試用期間の満了を待って、端的に「試用期間終了、不採用」とすればよいと考える方もいるかもしれませんが、法的には労働者の権利はこれでもかという程手厚く保護されているところ、試用期間であっても勤務開始から15日目以降に本採用を拒否する場合には、少なくとも30日前の予告あるいは解雇予告手当の支払いが必要となります(労働基準法21条4号の反対解釈)。
もっとも、Q4で解説したとおり、全ては当事者(雇う側と雇われる側)がどう認識したかということが根本となりますから、Aさんと話をしてみて、本人が納得して自分から退職を申し出た場合は通常の自主退職と同じ扱いとなります。
もっとも本件ではAさんも普段から指示や注意に従わないということですので、スムーズに話が進むとは思えませんが‥ダメ元で一度面談してみて「経歴は間違いだったのか、嘘であればなぜ嘘を書いたのか」を確認するところから始め、自分から辞めるつもりはないか意思を確認してみると良いのではと思います。