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   Q:5   遺産分割終了後に遺言が出てきたら

三人兄妹の長女です。84歳の父が亡くなり、父名義の実家の不動産や預貯金は、子供たち三人と母との間で遺産分割協議を行った結果、不動産は売却し全て現金化し、法定相続分に従い均等分割する手はずで進めていました。

ところがある日、実家を整理していたところ、タンスの引き出しの奥から遺言書が見つかりました。

 

その内容は長男に不動産を全て継がせ、その子供(つまり、孫)にも一定額を遺贈するというものであり他の相続人の遺留分も侵害するものでしたが、相続をその通りやり直さないといけないのでしょうか?既に業者さんは買い手を見つけ、実は明日が売買契約締結の日なのですが…

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大変な事態となりましたが、後から遺言書が発見された場合、それまでになされた遺産分割協議の内容は無効となるのが原則です。

 

それほど遺言の効力は大きいのです。なお、いつ見つかったとしても遺言の効力には時効はないため、数十年前の分割が覆されるということも理屈上はあり得ます。

しかし、相続人全員が、既に行った遺産分割協議の内容で構わないと合意している場合は、遺言の内容を無視することができます。ただ本件では、長男さんに有利となるので了解を得るのは難しそうですね。

 

このような場合、考えられる泥沼のシナリオは、長男以外の相続人から「遺言は偽造である」或いは「遺言の要件を満たしていない」、「作成当時父は認知症だったので無効である」といった主張がなされ、あっという間に家庭裁判所に舞台を移し争いが本格化する流れです。

 

そのような事態は決してお父様も望んではおられないと思いますので、何とか話し合いで解決されると良いですね。

なお、明日に契約が迫っている不動産売買はどうなるかといいますと、実は遺言の効力が発動し巻き戻されるとき、本件の不動産の買い手の様な何も事情を知らない第三者は、いわゆる「善意の第三者」として保護されない、すなわち外部との間の契約等も無理やり白紙にされるということになります。

 

業者さんと買い手の方には気の毒ですが、事情を話し内輪で解決が見い出せる様になるまで待ってもらう他ないものと思われます。

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