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Q:4 利用者の死後後見人が引継ぎをしてくれない
老健の相談員です。最近亡くなったご利用者に娘様が居たのですが、利用者から娘に対するDVや、利用者本人の多額の借金などもあり、娘様の方が一切の関わりを拒否されました。その後、家庭裁判所に法定後見を申し立て、結果第三者である弁護士の方が後見人となり財産管理をする事になりました。
先般、当該ご利用者がご逝去し、後見人の先生に当施設利用料の清算に関し連絡したところ、「後見人は本人の死亡を以って自動退任するので、清算は行えない。本人の死亡後に清算を行ったら横領に当たる。相続人である娘に直接言ってほしい」とのことでした。
また、当該後見人は、「自動退任した後の事務は後見人ではない。当然のことながら裁判所は後見人の報酬の対象としていないので、このようなやり取りをすることも迷惑」とも言っておりました。清算と言っても、入所時の保証金が有りましたので、実際には少しの金額をお返しする事になります。
当方としては、ご利用者本人が存命中に発生した利用料等の清算なので、後見人が清算を行う義務が有るのではないかと考えますが、いかがでしょうか。 因みにそのご利用者の遺体は娘様が引き取りました。
当該後見人が言うように、娘に清算後のお金を返すのは良いのですが、これまでの本人の財産の使用状況に関して説明を求められた場合、答える事が出来ませんので躊躇が有ります。
原理原則でいえば、被後見人の死亡と同時に後見人の業務は終了します。しかし現実に相続人への引継ぎや本件の様な清算業務(これを「死後事務」といいます)は当然発生するため、後見人においてはスムーズに連携できるよう配慮することが求められています。
また民法上、後見人はその業務終了から2か月以内にその管理の計算(後見人に就任していた期間の収入と支出について計算し、財産の変動と現状を明らかにすること)をしなければならないとされています(民法870条)。お考えのとおり、ご利用者の生前のお金の出入りは後見人しか把握していない訳ですから、実際の清算業務を主体的に行うことはできずとも、娘さんをはじめとする相続人と連携して施設との間の清算業務を遂行する必要があります。
施設側としては、まず娘様に連絡し清算業務を進めさせてほしいと要望されるのが良いでしょう。
ご質問文中後見人の発言としてあった様に、被後見人が死亡すれば一律に終了であり、その後関わることが「迷惑」とまで言い放つことは逆に問題です。あまりに不誠実であり業務が滞る様であれば、その後見人である弁護士の所属する弁護士会に連絡し苦情を申し立てることも可能です。