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   Q:23   退職社員に対し、資格取得費用を返還請求できるか

社会福祉法人の事務局長です。介護職が介護福祉士の資格を取得する際、研修受講料等の費用を援助しているのですが、資格取得後にあっさり辞められることが続き、恩を仇で返す様な行為に腹を立てると共に頭を痛めています。

例えば「資格を取った後は最低3年間勤務する様に定め、その期間内に自己都合退職したときには費用の全額を返還させる」という規定を設けることは可能でしょうか。

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お気持ちはよく分かりますが、実は難しいという回答になります。従業員を金銭的ペナルティで拘束することになり、「退職の自由」を制約することになってしまうためです。憲法上、奴隷的拘束・苦役の禁止が謳われている以上、特にこうした現象について法曹界は厳格であると考えた方がよいでしょう。

具体的には、お考えの様な規定は、労働基準法第16条の賠償予定の禁止(「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」)に違反する可能性があります。

ただし、受講料等を飽くまで「貸した」という位置づけにする場合は、「一定期間の勤務や状況により費用の返済を免除する」という特約付きの金銭消費貸借契約を締結し法人が立て替えるという形になるため、同条に違反することは無くなります。

ただしその場合でも、

➀免除に必要とされる就労期間が長すぎる場合、➁資格・研修等を取得することが強制されている場合➂資格・研修等の内容が業務に直結し又は必要性が乏しい場合

などは、労働者を不当に拘束したと評価され、違法と結論付けられる恐れがあるので注意が必要です。

なお過去の裁判例では、「使用者がその業務に関して技能者の養成の一環として使用者の費用で修学させ,修学後に労働者を自分のところに確保させるために一定期間の勤務を約束させるという実質を有するものであれば,同法16条に反するものと解される。

また,退職等を理由とする貸与された修学資金の返還を定めた規定が,いわば経済的足止め策として就労を強制すると解されるような場合は,そのような規定は,同法14条にも違反するというべきである。」としたものがあります(平成14年11月1日/大阪地方裁判所判決/平成13年(ワ)第6224号)

法人としては自腹で援助するのではなく、なるべく資格取得の補助金や助成金を活用されると良いでしょう。

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