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Q:21 ご利用者が車内にいる中で送迎車を外からロックすることの是非
デイ管理者です。ご利用者の送迎時は職員二名体制で対応し、必ず一人が車内に残る様にしていますが、二人介助が必要なときはやむを得ずご利用者を残して車を一時離れる場合があります。
そのときに、ご利用者がドアを開け車外に出られ事故等につながることを防ぐため、一時的に外部からドアをロックし出られない様にすることは可能でしょうか?
そのものズバリの回答は厚労省等からも出ておらず裁判例もないため絶対ではありませんが、結論からいえば可能であるという答えになります。ただし、いわゆる違法な身体拘束に該当しないよう下記点に留意する必要はあります。
身体拘束の可否についての判断は平成13年に厚労省より出された「身体拘束ゼロへの手引き」中の3つの要件(22ページ)が定番となっていますが、➀切迫性(利用者本人または他の利用者等の生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと)、➁非代替性(身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する介護方法がないこと)、➂一時性(身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること)を基準として対策を講じると良いでしょう。
これら3つの要件のうち、➀と➁は互いに比例し、どれか一つの要請が高まると他方も上昇する関係にあります。➀の切迫性が高ければそれだけ➁も認められやすくなるということです。更に➂の一時性が限定されればされるほど、結論として止むを得ない最低限の拘束と認められやすくなります。こうした構造を意識して現場に導入していくと良いでしょう。
本件では、まずそもそも送迎時にそのように車内を空にしなければならない状況がどれだけ出現するか統計を取ります(➀切迫性に関係)。少なければ少ないほど、イレギュラーな対応ということになり認められやすくなります。一方、慢性的にそのような対応が必要ということであれば、原因は別にあり送迎要員を増やすといった別の対策を講じるべき、といことになります。
次に➁非代替性については、自由に車外に出られるようにしておくことは危険であり、これを一時的に防止するには外部からロックをせざるを得ないといえるでしょう。もっとも無制限に許容すると問題ですから、例えば「ロックは3分までとし、時間になったら必ず車に戻る」といった制約をつくりマニュアル化し現場に徹底させます(➂一時性)。
その上で各ご家族の同意を得られれば完璧ですが、もしそのような事態が滅多に起きないということであれば、わざわざ許可を得る必要も無いといえるかもしれません。その点は状況をみてご判断ください。