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Q:20 身元保証人が交代して以来、クレーム続きで困る
特養の施設長です。施設内において、ご利用者A様(80代男性、認知症)と同じフロアの別のご利用者の夫であるB様(70代男性、介護度なし)が、廊下ですれ違いざまにA様がB様の肩を叩き、B様がこれに応戦して持っていた杖でA様の足を叩き返すというトラブルがあり、結果B様が打撲、腕の表皮剥離の怪我をされました。
その場におり気づいた職員はすぐに止めに入り、けがの治療は看護職員が行いました。B様が帰宅されたのち、その息子さんから「施設に管理責任あり、自宅に謝罪に来るのが当たり前だ。治療費支払いとか通院援助はだれが行うのか」等の苦情がありました。
このような場合、施設に責任があるのでしょうか。なおA様は、確かに以前から精神的に不安定であり、他のご利用者に手を上げるということは見られていました。その日も注意して職員が見ていたのですが、一瞬の隙に事件に発展してしまったものです。なおA様とB様の間に日頃いさかい等はありませんでした。A様ご家族とも話をしたのですが、ご家族に賠償責任を負って頂くことはできないでしょうか。
ご利用者同士の喧嘩であっても、傷害等の結果が起きれば施設の監督責任とされてしまうのが原則です。
従って本件でも、Aさんの危険行動をある程度認識し注視していたにも拘わらず起こしてしまったということで、基本的に責任を負うものと考えておいた方が良いでしょう。Aさんご家族側に責任を分担してもらう方向は難しいものと思った方が良いです。
もっとも本件では、認知症ではない利用者家族のBさんがAさんに反撃しており、そのため火に油を注ぐ結果になってしまったともいえますので、いわゆる過失相殺により、100パーセント施設が全ての責任を負うということにはならないものと考えます。また支払いについては、治療費等低額のものであれば払っても構いませんが、慰謝料を吹っかけてくる様なことがあれば毅然と断り線引きを行うべきでしょう。
B様のご家族に対しては、「本件については、A様の危険行動を予知し防がなければならないところ、このような事態となってしまい申し訳ございませんでした。
もっとも、B様もA様に反撃され、やむを得ずなされたものとも言い難いため、相応の過失相殺はなされるものと思います。従いまして今回は治療に要した費用をお支払いさせて頂きます。」といった説明、対応が無難かと思います。