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Q:19 身元保証人が交代して以来、クレーム続きで困る
有料老人ホームを運営する法人の本部に勤務する者です。最近、あるホームのご入居者様(男性、88歳)の身元引受人が交代され、新たな引受人の方とコミュニケーションが取れず困っています。
当初は奥様が引受人だったのですが、途中で施設とのやり取りや訪問自体がしんどくなったとのことで、娘さんと交代したいと申し出られました。私どもの規定では、特に支障が無ければ自由に交代頂いて構わないというスタンスでしたので、一応面接を行ったところそのときは娘さんに異常は認められず、スムーズに引き継がれました。
ところがこの娘さんは、高齢者介護についてかなり偏った信念をお持ちで、「人は運動不足で老い、弱っていく。どんなときも必ず一日一回は歩かせなければならない」「食事は、嚥下能力が落ちても固形食を食べるべき」といったこだわりを当施設に要望してくるようになりました。
現状、ご入居者様は既にターミナルといってよい状態なのですが、娘さんは週に2、3回やってきては炎天下でも構わずお父様を連れ出し、止めようとしたスタッフには「父を寝たきりにさせて、殺す気ですか!」と大声を出される始末です。このままではご家族の窓口であるはずの身元引受人と円滑なコミュニケーションも取れず、何か不測の事態が起きたときに困るのですがどうすればよいでしょうか。
身元引受人が交代することで問題になることもあるのですね。引受人が、入居契約上「連帯保証人」でもある場合、経済的側面を重視するのが通常ですが、施設入所の場合後見人でいうところの「身上監護」の役割の方が大きく、この点が問題となります。
一足飛びにこのご利用者との契約を解除することはできませんが、やはりご利用者自身の身体生命に危機が及んでいる以上看過することはできません。ここは毅然と娘さんと面談し、「娘さんの考える介護方針に従うことはできない」と宣言するしかないと思われます。承諾されない場合は、退去も提案せざるを得ないでしょう。
今後の予防策としては、次に似たような引継ぎの事態に直面したときはこれまでのケアプランや提供履歴をお見せし、このような方針でやってきたが異論はないですか?」と尋ねる等して介護方針を確認すると良いでしょう。
あまりにかけ離れている場合には、「審査の結果、娘様が身元引受人になることは適切ではないと判断しました」と伝えるしかありません。身元引受人の交代の条項に、その様に「施設側で身元引受人として不適格と判断する場合には、その就任が認められない場合もある」旨記載しておきましょう。