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Q:16 職員が反社会的勢力と繋がりの疑い
特養の施設長です。先月、ある若い男性を厨房の栄養士として雇用したのですが、業務外で飲酒運転をして免許停止となる事件が起きました。普段から素行不良で言葉遣いも悪く、上司にも注意されると「ため口」ですごんでくる始末です。
また、事件後車での通勤ができないために彼の仲間が迎えに来ていたことがあります。黒塗りのいかにもといった大型の乗用車がお客様専用駐車場の真ん中に駐車して、他の車の出入りの邪魔になっていたことがあり、職員が社用車で帰社した際、やっとすり抜け駐車したあと、歩いてその車のそばを通り抜けようとしたら、ドライバーに凄い形相で睨まれ、怖い思いをしたことがありました。
この者は、履歴書を見ただけでは分かりませんでしたが、このような悪い仲間と付き合っていることは法人にとってマイナスイメージにしかならず、早急に辞めてもらいたいと考えています。彼も含めて、いわゆる「反社会的勢力」に該当するとして解雇する様なことは可能でしょうか。
反社会的勢力とは、いわゆる暴力団を想定していますが、政府の指針によれば「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」と定義されています(2007年「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」より)。
こうした勢力と繋がりを持ってはいけないということで、コンプライアンスの観点から反社会的勢力排除条項を対外的取引の契約書等に盛り込むことが当然の慣行となりました。
しかし、ご相談の様に雇用に際しては案外盲点となっている様です。その様な人物が入ってくることは滅多にないことかもしませんが、まず就業規則に「反社会的勢力またはこれとみなされる組織と関わりを持たないこと」を服務規定等に定め、また入職時の誓約書等にも追記すると良いでしょう。身だしなみの中で、タトゥー、入れ墨を明確に禁じているかも併せ確認されると良いかもしれません。
もっとも本件では、この者を直ちに反社会的勢力と決定することは難しいと思われます。具体的に金品等を要求されたことが無く、この程度で軽々に決めつけてしまうと、名誉棄損等思わぬところで反撃されることになりかねません。
この機会に反社につき各種規定を整備することとし、今回は勤務態度不良、指示命令違反といったスタンダードな方法で普通解雇に向けペナルティを積み重ねていくのが無難と思われます。