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Q:15 職員が実習生にセクハラ行為をした場合の処置
社会福祉法人の事務局の者です。法人内のデイサービスの所長が、「実習生に対し肩やお腹等に理由なく触り、それがエスカレートしていった」という報告を受けました。
他にも「初日に着替えをしているときにノックもせずに所長が入ってきた」「夜に会おうと言われた」という報告も受けております。
こうした一連の言動は、いわゆるセクハラに該当すると思うのですが、所長自身は自覚が無いらしく「この程度なら通常のスキンシップの範囲だと思った」等と言います。法人としてどのような処分をすべきでしょうか。
就業規則には当然セクハラ・パワハラを禁止する規定があり、今回違反したことによる懲戒処分をすることになると思われますが、その認定手続きおよび最終的な処分の内容が問題となります。
まず認定についてですが、「セクハラ」(セクシャルハラスメント)とは主に「職場において行われる性的な言動により労働者の就業環境が害されること」(雇用機会均等法11条1項)を言います。
もっとも、具体的にいかなる言動であればこれに該当するかはケースバイケースであり、最終的には受けた側の主観に大きく左右されるという面があります。この点、セクハラをした側の認識はそれほど重視はされません。
しかしながら一方で、本件の態様は、着替え中に入ってきたことについては偶然であり意図はなかったかもしれず、また「夜に会おう」と言われた件についても、何か誤解があったのかもしれません。
殊更に加害者側の方を持つ必要はありませんが、刑事手続きの「疑わしきは被告人の利益に」の発想で、万が一にも他の可能性が無いか慎重に調べ認定していくことが重要です。
具体的には、まず被害を受けたという実習生や周囲の職員らに詳細をヒアリングします。その上で被害者がセクハラであると確かに認識しているのであれば、所長に対してその旨告げ、相手に謝罪する気はあるか等尋ねます。
事実経緯を概ね認め反省しているのであれば、被害者らに謝罪を促し、法人としても関係各所含め謝罪をします。その上で当人への懲戒については戒告・譴責等の最も軽い段階で良いでしょう。
しかし、事実を認めていながら全くセクハラと認めない様であれば、また繰り返す可能性が高く厳しく指導する必要があります。減給等、一歩踏み込んだ処分も検討せざるを得ないでしょう。