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Q:14 相続時の不動産の評価方法
長女、長男、次女の三人兄妹の長女です。3か月前に父親が亡くなり、父が一人で住んでいた実家(家と土地)を、遺産分割においてどのように評価するかで揉めています。相続人は私達三人で、父の遺産は不動産の他に預貯金等は殆どありません。
三人で話し合う中で、長男である弟が不動産を相続し、私と妹はその代償金としてある程度のお金を貰う、という方針で話し合いを進めていました。
ところが、先日弟が私達に出してきた価額が合計で2000万にしかならず、流石にあまりに低いので驚きました。
これでは、確か35年前に父が購入したときより低いはずです。不動産業者の査定によるもので、「路線価」に基づいて出したと言いますが納得できません。公正な価格であればそれで良いのですが、このような遺産分割の場合不動産はどのように評価額を算出し、決めていくものなのでしょうか。
結論からいいますと、不動産の評価方法には4つの物差し(算定方法)があり、査定額が高い方から順に「実勢価格」(実際の売買価格)、「公示価格」(実勢価格の9割程度)、「路線価」(実勢価格の7、8割程度。相続税を算出するときはこの基準が用いられます。)、「固定資産評価額」(実勢価格の6、7割程度)となっています。「一物四価」といわれる所以ですね。
そのうち、どの基準を用いて不動産の価値とするかは、建前としては遺産分割時の不動産の実勢価格とされています。しかし現実に買い手が付かなければ金額も確定しないため、そのため結局は評価方法で揉めることになるのです。
この点は遺産分割調停でも必ずといっていいほど問題になりますが、大抵は双方が不動産業者に頼み自己に都合の良い査定を提出し合い、まとまらないので結局は不動産鑑定士に評価を依頼するということも多くあります。
その場合は数十万円の鑑定料が発生するため、話し合いで折り合いをつけるということもあります。
ですから、不動産の額は飽くまで交渉の結果決まるものであって、絶対の基準は存在しないのだということをまず強く認識されると良いでしょう。
強引に話を持っていかれない様、こちらも専門家に相談しつつなるべく説得力ある根拠を引用しながら希望に近い額を提示していくことが理想です。