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Q:14 ご家族が食事介助中にご利用者を誤嚥させた場合
有料老人ホームの施設長です。介護に熱心なご家族(娘さん)がおり、ほぼ毎日の様にご利用者(お父様)の様子を見に来所されるのですが、最近は夕方から夜まで滞在し、食事の介助も自らされるようになりました。
特にうちのスタッフの方法に不満があるといったことは無く、逆に気を遣ってくださっている様で「皆さんお忙しいでしょうから、私がやりますから」と仰るので、無碍に断ることもできずお任せしてしまっております。
ただ、施設長の立場としては、もしこうした状況でご家族が誤って食べ物を詰まらせるようなことがあったらどうしようと不安も感じています。実際、この方はせっかちなところがある様で、見ていると次から次へと食べ物を乗せたスプーンを運び、まだ口に入ってもごもごされているにも拘わらず押し込む傾向がある様です。
善意でやってくださっているのであからさまに注意もできず、かといって何かあったときの責任問題も気になるところであり、どうすれば良いかご教示頂ければと思います。
これも悩ましい問題ですね。仰る通り見方によっては現場職員の仕事を手伝ってくださっている訳ですし、ご利用者自身も娘さんから直接食事介助してもらった方が食欲も出る、ということもあるでしょうからどこまで介入すべきかは判断が難しいところかと思います。
ですが、シビアな話ですが万一誤嚥事故が起きれば、施設に責任ありとされる可能性が高いといえます。それだけ「介護のプロに預けた」という事実は重いのです。ちょうど該当する裁判例等はまだ存在しない様ですが、もし事故が起き、そのとき職員が同じフロアに居たのであれば、娘さんから提訴されれば負ける可能性が高いでしょう。
ですから、お考えのように「万が一の不幸があっては遅い」という確固たる信念をお持ち頂き、いうべきことはしっかり言っていくことが大切です。
「いつも食事介助までしていただき有難う御座います。ただ、申し上げづらいのですがもう少しペースを落として頂いてもいいかもしれません。現場職員たちには、ご利用者様が飲み込まれるのを確認してから、次の食べ物をお口に運ぶ様に指導しております。」等と伝え、娘さんが応じてくれるか否かに関係なくその伝えたということを記録しておくことです。
或いは、よほど危険性の高い食べさせ方をしている場合は、やむを得ず介助禁止と せざるを得ないこともあるでしょう。命を守るという使命感を持って、勇気を出してください。