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Q:2契約書・重説の事業所名はどう記載すべき?
訪問介護事業所です。当法人は複数事業所を運営していますが、ご利用者と交わす契約書および重説については共に、各事業所の名称とそこの責任者の名前を印字し、法人の印鑑を押しています。
ところが先日実地指導の際に、「事業所は主体とはなり得ないので法人名と代表者名、代表印を押す様に」と指導されました。対応は可能ですが、全ての事業所、ご利用者につき差し替えるのは大変な手間でありできればそのままにしたいと思います。
現行の私達のやり方は、法的に許されないことなのでしょうか?
答えとしてはNO、現行のままで問題無いということになります。確かに各事業所はそれ自体が法人ではなく、「法人格が無い以上契約主体とはなり得ない」という指導は相応の根拠があるということになります。しかしながら、介護保険法上は契約書については規定は無く、重説についてもそこまで細かくは規定されていません。
尚ご参考までに「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」の訪問介護のパートでは次の様に定められています。
「第八条 指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者又はその家族に対し、第二十九条に規定する運営規程の概要、訪問介護員等の勤務の体制その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書を交付して説明を行い、当該提供の開始について利用申込者の同意を得なければならない。」
勿論、契約書・重説上どこにも運営主体たる法人名が書いていないということであれば問題ですが、契約当事者として必ず法人名を書かなければならないとは書いていないのです。
そもそも法律上、契約というものは口頭でも成立するものであり、何のために契約書を作成するかというと契約内容を双方で確認し、後日立証できるようにするためという位置づけになります。 従って、もしトラブルが起きたとしても問題となるのは専ら契約の中身であって、誰と誰が契約をしたかという点については、(利用者側の場合問題となり得ますが)「事業所を運営する法人が提供主体である」か否かについてはまず問題とならないでしょう。
勿論、どこまでも正確さを追究するというのであれば指導通り法人名を記載した方が良いのかもしれませんが、そのための手間を考えるとあまりに煩雑に過ぎますね。
今後中身の方が改訂になる様なタイミングがくれば併せて修正しても良いかも知れませんが、「今は難しい」ということであれば、その指導に対しては「介護保険法上その様な規定はなく、現状支障はないため直ちに差し替えることは控え、次期改定時に併せ対応することとしたいと考えます。」等と回答すると良いでしょう。
指導員も人間であり、介護保険に詳しくない人もいますから、間違うことも当然有り得ます。盲目的にその場その場の指導に従うのではなく、おかしいと思ったらこちらも法的根拠を調べ、対等な立場として納得いくまで議論することが大切です。
それは理由なく「逆らう」ということではなく、「ルールに則り介護保険を正常に運営するための共同作業である」と理解されると良いでしょう。