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Q:17 別居の父に対して生活費を請求できるか
A市在住の者です。私自身は独身で両親とずっと実家で同居してきたのですが、4年ほど前に母(82)がアルツハイマー認知症と診断されて以来、両親の関係が悪化しました。
父(83)は母の病気を理解できず、私や母に不満をぶつけ、アルコール依存症もひどくなりました。私は10年前に離職し介護を続けておりましたが、限界を感じ、昨年母とともに家を出て、父と別居しております。
今はアパートで母と同居しながら母の年金で生活していますが、貯金を切り崩している状況です。母は要介護度2であり何とか自立生活も可能なのですが、やはり認知症なので長い間一人で置いておくことはできません。
ケアマネージャー等、周囲からは「施設に入った方がいい」と言われますが、そんなお金も無いし母は施設だと精神的に疲弊してしまうようです。
一方で実家に戻るかというと、既に父のことも忘れてしまっている様ですが、やはり今更戻っても同じように決裂することが目に見えているので、私としては今の生活を維持することがいろいろな意味で最良と思っています。
父自身は元気であり介護保険も利用しておらず、実家で相変わらず一人で暮らしている様です。父とは別居以来1、2度電話で話しただけなのですが、私達がなぜ家を出たのかも理解せず、私のことも「勝手に出て行った」と逆恨みしている様でした。
母は認知症ですが、後見人を付けることには躊躇しています。第三者が家裁から選ばれると、一方的な判断で施設送りになってしまう可能性もあると聞いたからです。またそもそも、父が後見に反対であれば先に進まないとも聞きました。
今のままでは私も日中働きに出ることができず、生活も大変です。どうすればよいでしょうか。
非常に難しい状況と思われますが、まず後見制度に関する誤解を正しておきますと、お父様が反対されようと、家裁が後見人が必要と判断しさえすれば後見人は付されます。ですからその点は心配無用なのですが、「施設を望まないのに入れられてしまう」というリスクについてはご懸念の通りで、後見制度が硬直的で、制度として「使えない」といわれる一因といえるでしょう。
そうなりますとご希望としては、今の生活を維持するための援助金をお父様に対して求めるということになりそうですが、婚姻費用という形でお母様が請求することが考えられます。ただその場合、認知症であることがネックになってきますが、最低限委任状にサインが出来るのであれば代理人を立て交渉することは可能でしょう。
問題は弁護士費用ですが、最寄りの「法テラス」に無料相談や費用の建て替えを申し込むことが可能です。併せて、現状お母様が受領している年金が一定水準に満たない場合は生活保護を部分的に取得できる可能性もあります。それぞれの窓口に相談しつつ、お父様との話し合いを進めていくのが良いでしょう。